Non Technical Skill 医学生へ
ERは局所的なチーム医療の最たるものです。その場にいる人全員が上手く連携して診断・治療を進めていかなければなりません。チームとして機能するためには
①リーダー(コマンダー)を明確にすること
②情報を常にチーム全員が共有すること
が、とても大事です。
スムーズに治療を進めて行くためには、全員が治療戦略を理解していなければなりません。患者の安定というゴールに向かう1つの道筋を全員がわかってるからこそ、その時必要な仕事を振り分けることができます。
①リーダーを決めるのは、戦略決定は1人が行う必要があるからです。常に状況は変わるので、戦略も常に変わります。それぞれがバラバラのゴールを見ていると、やるべきことが抜ける、被る、タイミングがずれるなどします。
②が同様に大事なのは、リーダーの戦略決定に情報が大量に必要であるからです。そして役割分担が明確にされていて、かつそれが上手く機能していることを確認するためです。
細かくいうと、ルートをとる役割の人が「ルート確保しました!」と宣言することも情報共有です。チームはルートを取れたことを確認することができ、他の人はもうルートは取らなくていいとわかり、リーダーはルートが取れている上での戦略を考えることができます。
患者についての情報はもちろん、自分がやろうとしていること、した事も共有する貴重な情報です。
この2つはERのような切迫した状況だけではなく、どんな状況におけるチームプレイでも必要なものです。
医師になる以上、医療行為のリーダーになる事は不可避です。1人の患者さんを回復させるというゴールに向かって、あらゆる職種と上手く連携をとるためにはNon Technical skillが重要になります。
ACSのときのようによく顔を合わせていて、チームプレイを練習しているわけでもないので、実はこっちの方が難しいかもしれません。
チームメンバーから上手く情報を教えてもらう能力、情報をまとめる能力、そして伝えて共有する能力が医師に求められています。
俺についていけ!というタイプでは上手くいきません。どのように人と関わっていけばいいのか、少人数で長い期間一緒にチームを組むポリクリという実習を通して、意識して身につけていくのが大切です。