ロジカルダイアログ
この本に書かれていた技術をまとめてみる
まず、この本の出発はビジネスシーンでよく使われている「ロジカルシンキング」だ。
ビジネスを効率よく進める上で必須の考え方であるが、これは考え方の枠を超えない。
そこで、ロジカルダイアログ=対話として、より実践的にロジカルシンキングの手法を使えるようにしたのがこの一冊である。
ロジカルダイアログを使えるようになるための最初の一歩として、この手法の「目的」をしっかりと捉えることが大切である。
ロジカルダイアログは、完璧な理論武装をして相手を打ち負かすことを目的としない。お互いの共通理解を尊重しながら、新たな考えを共に作り上げるのが目的である。お互いの意見が「一理ある」ということを認めることが大切なのだ。
それを念頭に置きながら、まずは理論の組み立て方から見ていこう。
自分が考えた理論は、基本的には演繹・帰納のどちらかの手段で考えられたものだと思う。
演繹のピットフォールは、大前提となるものがそもそも正しいのか、積み上げていく論理に誤りがないのか、というものになっている。
帰納法は、まず仮説を生み出すためのデータの数は適切なのか、そして集めたデータが正しいものなのか(違うことを調べているデータが混じっていないか)などが問題になってくる。
次に伝える時。これはこの本の中でも最も大切だと思った部分の一つである。
伝える際には「梯子をスムーズに移動して、相手と同じ高さで話す」ことが大事である。相手の特性に合わせた言語を使って離さないと、そもそも相手は理解することができない。
そして、話す順番も需要だ。
PREPと言われる順番がある。これは
結論、理由、事例、結論 という順番だ。
最初に一番伝えたいことを延べ、その理由を伝える。なぜそうなるのか、事実を用いてわかりやすい事例を紹介する。最終的な結論を提案する。という流れだ。
今度は相手の話を聞く時。
まずは相手のことを褒めたり、相手を理解している言葉をかけて関係性を解きほぐす。
その後、オープンクエスチョンで話を聞いて行くときに、相手の問題をMECEに分けて考える。
いろいろな切り口があるが、もれなくダブりなくを意識して相手の問題の切り口を見つけて行くことを大切にする。
相手に行動を促したい時。
人間は合理的ではない。感情と理論で生きていることを理解する。
LEARNアプローチの順番に話を進めると、相手の頭もほぐれてこちらの言葉が入りやすくなる。
まず相手の話を聞くこと。共通の言語で話すこと。相違を明確化すること。提案し、交渉する。
相手に理解の姿勢を示すことができるか問題である。
相槌にもテクニックがある。
ただ返事をするだけでなく、相手の発言に合わせて、プラスの相槌、マイナスの相槌、ニュートラルな相槌を使い分ける。
そして、非言語コミュニケーション(ボディランゲージ、表情、沈黙など)をうまく使う。
さらに相手の言葉を引き出す疑問後で返す。などである。
また、対お客さんだけでなく敵対者に対する準備も必要である。
相手は詭弁や強弁を使ってこちらを惑わせることが多い。
詭弁とは、論点をすり替えたり、こちらを矮小化して挫いてこようとするので
まずは論点をしっかり抑えること。100%などの言葉を使って言いくるめてきていないかチェックすることが大切。
強弁は大きな声やパフォーマンスで黙らせようとしてくるので、落ち着いて、受け止めてから冷静に論理で対抗することが求められる。むしろこちらの仲間になってくれと頼むくらいの気概が必要である。
グループデスカッションに入るときに役立つのが、
前提を共有することである。
一つの意見に対して全員が理解をえていても、その前提にある思いが違っていると後々詰まってしまう。
必ず最初に前提を話し合い、もし途中で違和感を感じ始めたら徹底的に前提を話し合うことが推奨される。
これはイシューを見極める話にも通じるかもしれない。
相手を説得するとき
「そもそも」という言葉で問題の本質はなんだったのかを考えてもらう。
「あえて」という言葉で自分の覚悟を伝える。
このほかにも様々な事例を元に喩えを頻繁に用いて漫画で説明されたこの本はとても読みやすかった。